名古屋市の会社で、ファッション小物やスマホケース等のプロダクトデザイナーとして働いていたyukaさん。旦那さんと知り合い、結婚後は3年ほど名古屋市内のアパートで暮らしていた。第一子出産のタイミングでマイホームの購入を決意することに。
「夫の勤務先が犬山市だったので、犬山市を中心に土地探しを始めました。犬山市が勤務先から近いことだけでなく、名古屋市内まで電車で約20分とアクセスがいいこと、土地の価格、住みやすさ、観光都市として盛り上がりを見せていることなども理由です。また、家族でゲストハウスをやるのが夢だったので、土地の広さや周辺環境を考えと名古屋市内よりも自然豊かな犬山市がいいねとなって」
理想の条件を満たす土地はないかと、犬山市内を2年ほど根気よく探し続けたそう。そうしてようやく運命的な物件と出会う。もともとあった母屋は取り壊して新しく家を建て、敷地の奥にあった離れを念願だったゲストハウスに改装した。新築の住まいは1階がギャラリー兼工房で、2階が居住空間となっている。これはものづくりや日本の伝統文化が好きなyukaさんの理想だったよう。
「学生時代に日本画を学んでいて、日本の伝統文化を広めたい気持ちがありました。名古屋に住んでいた頃の話になりますが、テレビで外国人の方が竹うちわづくりにチャレンジする番組をやっていて、これだ!と興味が生まれたんです。会社に有休をお願いして、すぐに香川県丸亀市まで学びに行きました。その後もかれこれ3年ほど定期的に通い続け、竹うちわ製作の技術を習得。今度は竹を入手しなければと思っていると、犬山市で竹林を持っている方と出会ったんです。その方から竹を譲っていただくことになって…。犬山市に移住する前の話ですから縁って不思議ですよね」
2022年にyukaさんは市民活動団体「竹のwa INUYAMA」を設立。竹うちわづくり体験のワークショップを開催したり、他の市民団体とコラボしてイベントを企画したりするなど、精力的に活動している。以前から勤めていた会社も退職し、今は新しいことにも挑戦しようとしているところ。
「ゲストハウスの夢は実現しましたが、犬山市に住むようになってからまた新しい夢が見つかりました。それが竹の魅力を広めることです。犬山市では竹あかりのイベントが開催されるなど、竹林が豊富な地域です。諸説ありますが、平安時代、犬山市羽黒の地域の竹で作られた竹弓が朝廷に献上された記録も残っているようです。竹は食べることも、細工にすることもできる植物ですし、いい循環を実現できたらと考えています。市民団体の活動を通して〝犬山=竹〟のイメージを作っていくのがこれからの夢ですね」
旦那さんは県外出身で、yukaさんも生まれは愛知県豊田市。ほとんど知らない土地に移り住むことに、最初はわずかな不安もあったそう。しかし「すぐに溶け込めました」と振り返る。
「現在の住まいのある場所は、昔から住んでいる方も多い地域でした。私たちは余所者になりますし、最初はうまくやっていけるか心配もありましたね。でも、近所の方々は若い方が来てくれて嬉しいと言ってくれたり、ゲストハウスをやることにも協力的な声をいただいたり…。本当に温かい方が多いですよね。子供を通じてママ友もできましたし、私のように移住してきた方も意外と多いです。子供を連れて飲食店に行くと、同じくらいの子供を連れている方が声をかけてくれて、自然と知り合いになることもあります。人と人とのつながりを感じられる場所です」
祭りやマルシェなどイベントが多いことや、市民活動で頑張っている方が多いことも魅力に感じているとyukaさん。行政との距離も「近くて驚いた」と笑う。
「犬山城の城下町を待ち駆け抜ける、いぬやまランニングフェスティバルに毎年参加するなど、私たち家族は結構いろいろなイベントに参加しているほうだと思います。すると、よく犬山市長さんの姿を見かけるんですよね。犬山市は、本当に行政の方との距離が近い。その気になれば行政の方と意見交換もできます。都市の規模が大きすぎないことは、実は魅力なのかもしれません。子育てといえば、名古屋市や豊田市が魅力的なイメージがありましたが、犬山市も十分な環境が整っていると感じます。若い頃の私にとっては、犬山市は城下町やテーマパークなどのイメージでした。〝遊びに行く犬山〟もいいですが、移り住んでみて〝住む犬山〟もとても素敵だと感じています」